東京高等裁判所 昭和25年(う)2464号 判決
然らば被告人は右会社の専務取締役として、同会社の目的たる澱粉等を原料とする精製葡萄糖並に食料品の製造販売業を円滑に遂行し得るよう努力すべき任務を有することは当然である。然るに原判示によれば、被告人はその任務に背き当初から会社のために配給を受ける意思なく、これを他に闇値で橫流しをして自己の利益を図る目的を以て、会社に割当になつた甘藷澱粉を他に売却し、因て約金十五万円位の利益を得右会社に財産上多大の損害を与えたというのであるから、被告人の右所為は背任罪を構成することは明らかで論旨の主張する如く当時右会社は資金難のため製飴業のための工員又は設備がなく且つ割当の澱粉を受取るための資金がなかつたため被告人が自らその資金を調達したとしても被告人の罪責を左右するものでない。のみならず原審で取調べた証拠を精査するも原判決に所論のような事実の誤認あるとは認められないから論旨は理由がない。